乳歯、永久歯につづく”第三の歯”とも言われるインプラント(人工歯根)ですが、まさに自分の歯のように機能する反面、メンテナンスに関しても自分の歯と同じように扱う必要があります。
「インプラントはチタン(金属)で出来ているから虫歯にならない」と本気で考えていた方もいますが、確かに虫歯にはなりません。だからと言って歯磨きも定期健診もいらないというわけではありません。
歯磨きも定期健診もしなければどのようなことになるかについてご説明させていただきます。
インプラントも歯周病になる?
歯周病とは歯を支えている歯槽骨が溶けてそのまま放置すれば歯が抜けてしまう病気です。
歯周病の初期は歯ぐきに炎症がみられる歯肉炎です。なんとなく歯ぐきが赤っぽい、腫れぼったい、だけど歯槽骨にまでは炎症が及んでいない状態です。歯肉炎が進行して歯槽骨の吸収が始まると歯周病、以前の歯槽膿漏となるわけです。
歯肉炎の段階であれば歯磨き指導と歯のクリーニング程度で治ります。歯槽骨にまで炎症が及ぶとそれほど簡単には治りません。
歯周ポケットという言葉を聞いたことがあると思いますが、歯槽骨が吸収するとその部分にギャップが生じます。ギャップをポケットと呼んでいるのですが、吸収した骨が元に戻ることはほとんどありません。
普段から定期的に歯のクリーニングを受けていただいている方は歯肉炎のうちに処置することが出来るので歯周病に進行することはありません。クリーニングにお越しくださいねとお伝えするのはそのためです。
インプラントは歯槽骨に取り込まれるように結合することで機能していますが、メンテナンスを怠ると自分の歯と同じように歯槽骨とギャップが生じて、それが大きくなるとインプラントが骨が外れてしまいます。
このような状態をインプラント周囲炎と呼びます。
・歯の周りの炎症を歯肉炎
・さらに進行すると歯周病
インプラントの周囲の組織(歯ぐき、歯槽骨)が炎症はインプラント周囲炎
インプラント周囲炎とはインプラントそのものが壊れるのではなく、インプラントの周囲の歯ぐきや骨が炎症を起こす病気のことです。
インプラント周囲炎予防のために
40歳以上の80%が歯肉炎、歯周病と言われいますが、数字だけみるとすれ違うほとんどの方が歯周病で歯を失ったのかと言えばそんなことはありません。定期的に歯科医院に通っている方はたとえ歯周ポケットが深くても歯が抜けてしまうほどの状態ではありません。つまり、歯磨きや歯のクリーニングを行うことで歯を長持ちさせることができということです。
インプラントも同じように歯磨きと歯のクリーニングで長持ちさせることができるのです。
家や自動車、機械などもそうですが、メンテナンスをこまめに行なう人とそうでない人では寿命や見た目の感じが違いますよね。
・丁寧な歯磨きをおこなうこと
・定期的に歯科医院でチェックをうけること
この2点がインプラント周囲炎予防には欠かせないということです。
おわりに
インプラントも自分の歯も、歯磨きと定期的なクリーニングで結果が全く違います。
痛くなってから歯科医院を訪れるのではなく、歯磨きで取り切れない汚れや歯石を専門家に取り除いてもらう位の感覚でお越しいただくと、結果として歯が痛くなることがなくなります。
半年以上、歯医者で診てもらっていない方は歯の掃除のつもりで受診してみるといいかと思います。
補足
自分の歯もそうですが、歯やインプラントの周囲の歯肉が薄くて歯ブラシがあたると痛みを感じる方がいます。
そのような方は柔らかい歯ブラシを使っていただくほかに、薄い歯肉にボリュームを与える方法もあります。
歯肉が厚くなると歯も磨きやすくなるので気になる方はご相談ください。